小説 モモ
モモという小説を
読み返していました。
時間を盗む灰色の集団と、
盗まれた時間をたった一人で取り戻す
少女モモのお話。
説明が要らないほど有名な小説ですよね。
皆さんもご存じの方が多いと思います。
この小説の初版は1973年だそうで。
その当時から作者のエンデは、
人々が
想像力、心の余裕、人生の余白やいろどり
みたいなものを
急速に失いつつあることに対し
とても危機感を抱いていたようです。
時間を盗む灰色の集団は
無駄という名前の時間を人から奪い取り、
代わりに
無駄を徹底的に省いて合理性を高め
生産性も高めることで
「お金」をたくさん生みだすことこそ
人間にとって最高の価値であると
人々に植え付けていきます。
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小説の中では
モモが時間泥棒をやっつけて
めでたしめでたし、
でしたけど。
1973年から47年たった2020年
いま現実の世界では
エンデが恐れていたであろう
「無駄を省いてお金を生み出す人が最高!すごい!」
っていうような世界が
まさに完成されています。
それが良いか悪いかは
個々の判断によるでしょう。
お金がたくさん生み出されることで
便利になって助かった命もあるでしょう。
逆に、失ったものもあるでしょう。
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私は、モモは別に人々に時間を取り戻してあげる必要なんてなかったんじゃないかと
そんなことを思いました。
なぜならこの問題は、
モモがたった一人で判断し戦うべきことではなく
時間を奪われた人間ひとりひとりが自分でよく考えて
時間を盗まれていることが嫌だ!
今の生活が嫌だ、変えたい!
昔のような生活を取り戻したい!
と思ったのであれば、
自分自身で戦わなくてはならないのです。
もしくは、モモと一緒に自分も戦わなくてはならないのです。
自分の出来る精一杯をもって参戦しなくてはならないのです。 自分の労力を使わないのなら いつまでもその場に甘んじていればよいのです。 進まない人間に未来はないのですが、それもまた、自分自身で選びとった未来であり、間違っているわけでもないのです。
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誰かがやってくれる
誰かがなんとかしてくれる
そんな時代はとうの昔に終わりました。
もう、本当に、終わったのです。
自分の意志と行動力
そして想像力が
未来への大きなカギです。
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